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小話29 駄々っ子美鈴~葵編~:美鈴小学四年の秋

Author: 三木猫
last update Last Updated: 2026-01-05 09:53:44

「絶対嫌ぁっ!」

……可愛い。

鈴ちゃんが必死に僕に抱き着いて教師の懇願を叩き斬っている。

「そんな事言わないで。白鳥さんの為にもなるのよ?」

「嫌っ!!絶対絶対嫌っ!!」

どうしてこんなに教師と格闘しているのか。その理由を僕は知らないし、目の前にいる鈴ちゃんのクラスの担任教師も僕に教える気がないのか絶対その内容を口には出さない。

ただ、鈴ちゃんが嫌だと僕に抱き着いて、その鈴ちゃんの腰を引っ張って話を聞かせようとする担任教師の姿。

…大きな株?確かそんな童話があったよね?

ぼんやりと遠い目をしていると、そこへ龍也が通りかかった。

「……何してるんだ?お前ら」

「何してるんだと聞かれると、鈴ちゃんと先生の攻防戦としか言いようが…」

そしてそれに僕が巻き込まれているとしか…。

大体十分くらい前。授業が始まる前に日直の僕は先生から日誌を受け取ろうと職員室に来た。

すると、そこで鈴ちゃんが教師と言い合いをしていて。

一体何にそんなに騒いでいるのだと、鈴ちゃんに歩み寄ると、教師は一瞬だけ眉をよせて、鈴ちゃんは僕の存在に喜んですぐさま抱き着いてきた。

「先生が何と言おうと、どう説得しようと嫌なものは嫌ですっ!!」

そこから鈴ちゃんは僕に抱き着いたまま「嫌」の一点張り。

正直全く要領を得ない。

「とにかく白鳥さん。そんな風にお兄さんに抱き着いたままじゃ話も出来ないでしょう?一旦離れて私と二人で話しましょう?」

「嫌ですっ!」

「白鳥さん…」

はぁと大きくため息をつく教師に僕は一体どうしたらいいのか少し戸惑う。

鈴ちゃんの味方をしてあげたいけど。内容を聞かない事にはどうにも…。

「葵お兄ちゃんっ。葵お兄ちゃんは私の味方だよねっ?ねっ?」

「うん。勿論味方だよ」

「じゃ、じゃあ、今日は一日お兄ちゃんの側にいてもいいよねっ?ねっ?」

「それは…僕としては大歓迎だけど。僕のクラスで授業を受ける事だって鈴ちゃんにとっては全く問題ないとは思うんだけど…でも、鈴ちゃん。いいの?」

「え?何が?」

「僕のクラスって事は、こいつがいるよ?」

親指で後ろにいる龍也を指す。

ピシッと鈴ちゃんの表情が固まった。

「おい…。なんでそこで固まるんだ」

鈴ちゃんが固まった事により、腕の力が緩み、

「さぁ、白鳥さん。こっちで話を詰めましょうっ」
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